October 06, 2006

マイクロソフトとタービュランス

少し前のエントリで心配していたことと少し違う種類ではあるが、かなり重い病気がマイクロソフトに(それも日本でも)蔓延しているらしい。

古川 享 ブログ: 大浦博久氏のマイクロソフト退社と昨今のマイクロソフト事情
現在のマイクロソフトが、外部から就任した新任マネージャーの好き嫌いで長年貢献してきた人間が冷遇されたり(たとえば、ボーナス査定ゼロ、暗黙の辞任勧告とかね)、根拠の無い告げ口でハメられたり、...優秀な人間ほど、このままモチベーションを維持するのが難しくなってきて転職を考えていたり...そんなジレンマを相談できる信頼のおけるボスも人事部もいないまま悶々としている人間たちの鬱積を、私は肌で感じています。

本文はこの後にこのことを示す例が載っていて、どうも世の多くはその例を題材にコメントすることが多いみたい。具体例だからコメントしやすいからね。私としてはその向こうにある背景を推察してみようと思います。


マネジメントが変わって、新しい血が入って企業は生まれ変わっていくのですが、残念ながらこういうことは起こってしまいがちです。古川さんは新しいメンバーとはそれほど関係も深くないので、「好き嫌い」と一刀両断にしていますが、私から見るとこれは現在のマイクロソフトの構造的問題に見えます。

新しく採用されるマネジャーは(特に現在のマイクロソフトのような経営者交代期では)何らかの変革を期待されて採用されるケースが多いはず。そこに加えて、短期間で変革の結果を出すように求められてもいるはず。
この人たちは真面目にその責任を全うしようと考えて、昔からいるメンバーに自分なりの変革を働きかけることから始めるのですが、なぜかこのときに「うちの会社はこうやることになっていますから」「これが当社の文化ですから」といった変革を好まない台詞回しでコミュニケーションされてしまう。それでジレンマに陥るわけです。

短期間の変革を求め、それを評価に結びつけた組織構造と、変革を好まないメンバや文化の間で板ばさみになっている新任マネジャーが私には見えます。

人間はそれほど強くないので、この板ばさみを組織の要求にあわせて解釈しようとするケースが多いと推察します。「私は悪くない。組織も変革を求めている。守旧派=変革抵抗勢力=悪い」という論理に走ることもあるでしょう。

すると悪い奴らと戦う正義の人というキャラクタが自分に設定される。守旧派との戦いは新任マネジャの中で聖戦に昇華します。

あとは戦術論として、アサインメントに能力以外の意図をいれるとか、既存メンバの評価を低くするとか、イジメに近いコミュニケーションへの変質とか、さまざまな不具合へ発展する、という構図です。

こういう状況に陥らないためには、変革の理想像を共有することが一番のはずです。
特に社外環境や業界の外部環境を新旧メンバで共有して、解決策を一緒に考えることが有効。
新任マネジャー側にも努力は必要ですが、トップマネジメントやその他のセクションからの組織的サポートも必要なはずです。古川さんブログから推測するに、このへんの支援はほとんどなさそう。変革を現場任せにしているマネジメントの姿勢も疑うべきであります。

ゲイツ氏も引退するだけでは変革支援が足りないのでは。
ゲイツ、バルマー、そのほかのマネジメント各氏(もちろん日本法人でも)が手を変え、言葉を変えて代わる代わる変革の必要性を訴え続けないと、上述の構造はますます悪いスパイラルとして加速していく恐れもあります。

投稿者 yutaka : 03:09 AM | コメント (0) | トラックバック