December 03, 2006
起業から10年経つと.......
われわれは焦点を絞った一貫した会社としてのビジョンを欠いている。われわれは誰も彼ものために何もかもやろうとしている。われわれがこの問題があること を何年も前から知っており、絶え間なくそれについて話をしてはきた。しかし根本的な解決策は何一つ実行されていない。われわれは取り残されることを恐れて いる。われわれは自分自身の確固たる進路を示す代わりに、ひたすら外界に反応してきた。われわれは社内にいくつものトーチカを作り、そこに立てこもって互いに話をしようとしないことが多すぎた。そして話を始めても、それははっきりと定めらた戦略目標に向かっての共同作業ではなく、縄張り争いであり、戦略を どうする、戦術をどうするかについての論争ばかりだった。
大企業病を憂うコメントですね。創業から20年も経った企業ならありえる考察ですが、これが米国Yahoo!の副社長が自社のことを言っているというのに驚き。
ヤフー!ジャパンの日本における圧倒的なポジションに比べると、米国Yahoo!は「有力ポータルの一角」という、若干弱めのポジションになるものの、でも大成功した企業であることは間違いない。それに創業からまだ10年ちょっとですわ。別にこんなところまでドッグイヤーで歳をとらなくてもいいとは思うのですが........
この手の論議の次の展開は、原文でその副社長が提言している通り、「戦略第一、ムリ・ムラ・ムダをなくして効率経営」とかに行き勝ち。でもそこには大きな落とし穴があることがあります。
90年代前半から中盤にかけてのAppleは頭のいいMBAホルダが効率経営と高収益率を売りものにしていました。でもその頃から、人を魅了するエッジの効いたものを出せなくなり、成長力・推進力を失っていくのでした。ジョブズが復帰するまでの数年間、戦略も一定しなかった。
戦略というのは「自分たちが行きたいところへいくための方向を明文化すること」と定義してくれて人がいます。つまりかっこいい戦略を立てる前に、まず自分たちが行きたいところをきちんと決める必要があるわけです。
幸い、冒頭引用したビーナッツバター宣言ではこのあとに、「まずビジョンを決める」とあるので、少しは安心なのですが、もしも引用先のサイトで指摘されているような社内の主導権争いの手段としてこの宣言があるとしたら、ビジョン策定のところをおざなりにしてさっさと戦略・戦術談義へ行ってしまうという可能性もあります。
もしそうなったらYahoo!はヤバイ。
ビジョン策定のプロセスが賛成派と反対派を見極めるだけの単なる踏み絵プロセスに化けてしまい、その後の社内は「物言えば唇寒し」「言わぬが花」という、コラボレーションを阻害する風土に転じてしまいます。
逆に、経営陣だけのミーティングをやめて、全従業員まで含めて「私たちの行きたい所はどこか」という議論ができたなら、その後のYahoo!はとてつもなく強い会社になるはずです。
実は全社論議というのは聞こえはいいのですが、やるのは本当に大変。特にこれまでオープンな議論をしてこなかった風土がある会社においては。
でもYahoo!は主張できるタレントも数多くいるだろうし、きっと建設的な議論はできると思うのです。だから、当面少しぐらい混乱しても、しっかりとビジョン策定論議の枠を拡げて、多くの従業員が納得できるビジョンを作るべきです。
残念ながらオープンな議論の結果「自分の理想と会社の理想が異なる」として去っていく社員もいるかもしれません。でも、それはプロフェッショナルとしての冷静かつ合理的な選択なのです。
一番まずいのは、行く先もはっきりしないのに船に乗せておいて、大事なタイミングで「だまされた。こんなはずじゃなかった。もう降りる」となること。力のある人にこれをやられるのが会社にとって一番大きな損失です。
出航前に冷静に船から下りることができると、感情的しこりはかなり小さいはずで、その後別のプロジェクトではプロフェッショナル同士の協力も得られるかもしれません。
いずれにしても大事なのはまずみんなが納得するビジョンをつくることであると考えます。
投稿者 yutaka : 03:42 PM | コメント (0) | トラックバック
October 24, 2006
今度はNTT西日本でもひかり電話トラブル
NTT西日本は10月23日,IP電話サービス「ひかり電話」と「ひかり電話オフィスタイプ」の一部ユーザーが,10月23日午前9時35分ごろからつながりにくい状況になっていると発表した。一部のユーザーは,ひかり電話同士の通話や,ひかり電話と加入電話,携帯電話などの受発信ができなくなっているという。
またですか......
この問題は前にも書きましたが、根が深いのでもう一度考察します。
- ひかり電話は技術陣が本気になれない構造を持っている商品
- 2年後あたりにNTT的なNGN時代が始まると全部取り替えないといけなくなるかも知れない。
- 単なるつなぎに過ぎないのか?今のひかり電話........ という不安
- ところが、営業サイドは積極販売
- きついノルマを課せられるあまり、安易なセールストークで売りまくる
- 「ひかりの時代ですから、ひかり電話がおすすめです」程度
- VoIPのリスクを説明するなんてもってのほか
- ここに至って技術と営業のアンマッチが起こる
- まだそれほど枯れていない、大規模運用による潜在的不具合を抱えているリスク商品
- マーケティングバズワードによる安易な販売
なによりも問題なのは、リスクをとったにも関わらずそのリスクにちゃんと対処しない経営です。リスク商品を売るには、それに応じた営業支援と営業目標の設定が必要なはず。リスクを見極めずにおいて、積極販売にアクセルを踏み続ける、NTT東西+持ち株の経営陣が最大の問題であると、私には見えます。
投稿者 yutaka : 07:08 AM | コメント (0) | トラックバック
September 25, 2006
ひかり電話の障害と誤謬
NTT東日本が提供しているひかり電話に先週大規模な障害があり、長時間・広範囲で電話がつながりにくくなる状態になった。同じサービスでNTT西日本でも春にも大規模障害があった。IP電話への信頼性が問われている。
「電話交換機はNTT自身が設計・開発しているから,何かあってもすぐに原因がわかる。ところがIP電話の機器は,メーカーが開発した装置を買ってくるから,ある意味ブラックボックス」(NTTのある幹部)
まるで「世界の電話システムはNTTがつくった。IP電話はNTTが作ったものでないので....」みたいな発言ですなぁ。
- NTTだけが世界の加入電話の信頼性(=可用性+耐障害性)を高めたのではない
- 現在使用されている電話交換機にもメーカ独自開発/ユーザである通信会社がいじれない、ブラックボックス化している部分はある
- ただし、どの部分が障害の原因になったのかという切り分け能力が高いため、原因把握が即座に可能で、すぐに方針を決定できる
- また、各モジュールも多重化されており、システム全体を停めずに交換作業を行うことができるケースが多い
- よって、長時間・広範囲の障害にはなりにくくなっている
N社幹部のような発言を誤謬という。
誤謬とは、Goo辞書 - 三省堂「大字林」によればこういうこと。
(2)〔fallacy〕一見正しくみえるが誤っている推理。推理の形式に違背したり、用いる言語の意義が曖昧(あいまい)であったり、推理の前提が不正確であることから生ずる。詭弁(きべん)。論過。虚偽。
IP電話を支える技術も、加入電話の高信頼性(=可用性+耐障害性)に近いレベルを実現することはできるはず。なぜならば、
- 構成要素はモジュール化されている
- 構成要素は多重化を前提に設計されている
- 恐らく根本的原因は、「システムの全体設計においてモジュール化・多重化の強みを生かしきれない、中途半端なコンセプトになっている」ことにあるはず
そもそも記事全体に若干の錯誤も見られるので、NTT幹部発言だけが誤謬ではない可能性もある。編集サイドの認識不足、勉強不足に起因しているかも。
技術面においてIP電話が遜色ないレベルに来たとのことだが、可用性、耐障害性、システムのコンセプト、サービスレベルにおけるトレードオフ(妥協)の内容、といった分野まできちんと取材しているのだろうか。
今列挙した4つの成分は、前二者が技術面だが、後二者は経営判断に関わる部分だ。目に見えたのが技術的障害だからといって、技術スタッフにのみ取材しているのでは不十分。
この問題の根幹は「システム全体として技術的に不十分なことを認識していながら、積極的な販売を行う」という経営陣に切り込むべき問題に見える。また、その影で犠牲になって障害対応に追われる技術者の皆さんの苦労をイメージしてしまう。「本社がアホやからこんなシステム押し付けられて、ワイラが苦労するんや」って......。゚(゚´Д`゚)゚。
中長期投資戦略としてNGNに本格的投資を行うことを標榜しているために、現在のひかり電話への投資を抑制しているとしたら、もう完全に経営問題のはず。編集幹部クラスによる追加取材と論評を期待したい。
投稿者 yutaka : 07:00 AM | コメント (0) | トラックバック
September 11, 2006
インターネットに似て非なるもの、NGN
一般的にNGNとは、「ベストエフォート」といわれる従来型のインターネットと違い、利用料がかかる代わりにセキュリティーやサービス品質を高めて、様々なサービスのインフラとして信頼性を保障するサービスを指す。
高品質なものが高い料金がかかる。
一般論としてはありそうな話ですが、問題はそれが「ユーザが納得して支払うものなのか」に尽きると思うのです。
元記事で村井先生がおっしゃる「インターネットはボロい」ところを高品質化するには大きく2つの道があるはず。
- 全く新しい高品質なものを新築する
- 今のボロいものを土台に増築する
今のインターネットって、新築が必要なほど危機的な状況なのだろうか?
というのがそもそもの疑問。
いや、技術系の一部のプロは「危機だ」と認識しているのかもしれないが、住んでいる人=一般ユーザや「こんなものは危機ではない」とする技術系プロもいるのだと思います。
マーケティング畑のヒトとしての私の視点は、「そういうことは住んでいる人が決めること」なので、いろいろな情報が出揃ってから自分の目的や予算に合わせたものを選択すればいいと思うのです。
ひとつだけ実感があるのは、NTTが主張するNGNには90年代中盤のインターネット到来期のような興奮がないということ。
INSマルチメディア構想、IMT2000構想、IPv6と同じ雰囲気やニオイみたいなものを感じます。構想だけ立派でみんな情報収集には入るけど、制約が多そうで盛り上がらないの。ユーザも開発者もみんな盛り上がらない。
結局行動する人が少なくて、大したものが出てこないか、出てもえらく値段の高いものになってしまうというオチ。
素人考えとしては、ボロくてもいいから現在のインターネットを基盤にして、増築っぽい技術的ブレイクスルーで品質を高めるアプローチの方が有利な気がします。
大体自分自身は全然危機感ないもん。
交換機がなくなってもVoIPで十分だし、データネットワークの品質も現行の技術で満足できるからね。
投稿者 yutaka : 12:54 PM | コメント (0) | トラックバック
忘れていたけど、骨太の方針2006の内容確認
・世界最先端の通信・放送に係るインフラ・サービスの実現
「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」に基づき、世界の状況を踏まえ、通信・放送分野の改革を推進する。
ブロードバンド大国の将来を占うには、つまんない内容でしたね。
ま、「世界最先端」でありつづけることを基本政策としているのはありがたいことではあります。
投稿者 yutaka : 12:14 PM | コメント (0) | トラックバック
September 01, 2006
Googleがシアトルに進出か?
米グーグル(本社・カリフォルニア州)が、ライバルのマイクロソフト(MS)本社に近い北西部ワシントン州のシアトル周辺で20階建てビルの大半を占める大型進出を検討している、とシアトルの地元紙が報じた。
これからしばらくMicrosoft(特に技術者)は大揺れに見舞われるかもしれませんものね。Ray OggieがMicrosoftの技術基盤をどこまでいじるかによりますが、何らかの変革を行うだろうと予想できます。それで真面目に変革に取り組むほど、「俺の実績を否定された」と理解してしまう真面目な技術者も現れることもあるでしょう。どちらが悪いということではなく、変革を行うときには全てがWin-Winになることは確率的にはありえないだろうということです。
すると何が悪いわけでもないのに長年働いていたMicrosoftに居づらい思いをする人も現れるわけで、そうなったときにはいっそ職場環境を大きく変えてみる = 転職する方が良くなることもあるでしょう。まさにリセット。
これは確率の問題なので、どんなに優秀な人、人格の優れた人でも「結果的に居づらくなる」ことはありえると思うのです。
こういうケースの受け皿としてシアトルチームをつくるGoogleの大型進出はいいところをついていますなぁ。さすが。
投稿者 yutaka : 11:07 AM | コメント (0) | トラックバック
August 18, 2006
「ググる」が使えなくなる?
Googleが、「google someone(だれかについてググる)」といった一般動詞としての同社名の使用を厳重に取り締まる意向を明らかにした。
Googleによると、このような言いまわしは、同社のブランドを傷つける恐れがあるという。
(中略)
大学でコンピュータ工学を学んだブロガーのFrank Gruber氏は、「これは究極の賛辞のはずであり、Googleが異なる受け取り方をしたことは信じられない」と述べている。
別のブロガーSteve Rubel氏は、同社の対応を「史上最悪のPR活動の1つだ」と切り捨てた。
シリコンバレー中心部在住のPR会社幹部Morgan McLintic氏によると、Googleは自社が英単語になったことに対する喜び方を学ぶべきだという。
真面目過ぎる大人になっちゃイヤよ>Google
元記事で紹介されている通り、喜ぶべきだと思うけどなぁ。
90年代前半には、「Webで見たんだけど」を"netscaped"ということもあったよなぁ、と思い出しました。
既に前世紀語録になってしまった。(-人-)合掌。
"googled"や"ググる"が22世紀でも使われるにはどうするばいいだろうって考えるべきで、狭量なブランド屋の言うことを聞くことはないのだー!
投稿者 yutaka : 11:23 AM | コメント (0) | トラックバック
June 23, 2006
2010年?
今回の政府与党合意に明文化される「『2010年の時点』で検討を行い,その後速やかに結論を得る」という表現は,竹中懇談会と片山委員会の折衷案と言える。最後まで議論となったのは,「2010年の時点」という文言だった。
遅っ!
このへんがこの国の歯がゆいところですよね~。
「2代後か3代後の総理大臣の時に決めましょうね」って今の時点で合意してどのような新しい価値が生まれるというのだろうか。
「次の次の社長の時の検討課題」って民間企業が決めるかぁ?
その間に環境が変化するのは判っているのに、それなのに解決優先順位だけ決定されているって、ヘンです。(キッパリ)
それもその順位付けが大きな議論なしで決まったのは良くない。
55年体制派にとっては4年間の聖域的期間を手に入れたことになるのも良くない。
u-Japan構想の産物が「2010年になりました。光ファイバーだけは引きました。NTTのことを考えます」で終わるのも良くない。
「ブロードバンド化ができました。こんな楽しい使い方もできるようになりました。どこからでもリアルタイムレポートができたり、見えるようになって、ニッポンの情報社会化を大きく進めることができました。」みたいな報告をするためにやっているのがu-Japan構想のはず。こんなことでブロードバンド化+ユビキタス化を減速させるようなリスクを高める決定をしてはイカンのです。
あ~、でもなぁ、通信・放送の55年体制堅持メディアの日経系報道だもんなぁ。
ちょっと割り引いて評価しなくちゃいけないかな。
まぁ、骨太の方針を要チェックってことですかね。
投稿者 yutaka : 03:00 PM | コメント (0) | トラックバック
June 22, 2006
小野寺さんすごいぞ!
KDDIの小野寺正社長兼会長は6月21日,定例の社長会見を開催した。
(中略)
質疑応答の中で小野寺社長は,竹中平蔵総務大臣が主催した「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇談会)の最終報告についてもコメントした。「懇談会として発表した内容が,与党との合意でどういう形になるかは分からないが,『2010年』というターゲットを決めてNTTの構造問題や組織問題を何とかすると決めたことは大きい。一部報道にあるように,懇談会の主張が後退したとは思わない。何もなければ(NTTの組織問題などについて)あそこまでの議論にはならなかった」と評価した。
小野寺さん、その通り!
前回のエントリーでワタシが言ったこととほぼ同じジャン。
さすが!
なんかねー、竹中懇報道(特に日経)が本質を捉えていないと思うのですよ。
既存テレビ局にとっては竹中懇の議論を矮小化させることで、改革を先送りにしようという意図があるのでしょうが、新聞もそれに乗っては「既存メディア vs 新興メディア」の構図になってしまい、戦線が拡大してしまうはず。
何らかの深謀があればわからなくもないが、「竹中懇尻切れ」報道は単なる条件反射に見えます。また、そこには古きニッポンの55年体制的価値観が透けて見える気がします。
少数の強大なプレイヤーによる市場支配と業界保護行政ってやつね。
時代は確実にユーザ主導に移っていること、政府や自民党にも業界保護派と構造改革派がいて論争は続くこと、などなど考えると、55年体制的な報道は時代の変遷に対する感覚(歴史観)やバランスを欠いていると言えましょう。
小野寺さんとKDDIチームは現在情報漏えいという逆境の中にいるのに、ちゃんとこのへんを同じ席で指摘しているところが本当にエライ!
足元に火がついていても、言うべきことは言う。見習いたいと思いました。
投稿者 yutaka : 01:43 PM | コメント (0) | トラックバック
June 20, 2006
通放在り方懇最終報告書
伝送路・通信サービスからコンテンツ等に至る各レイヤーを越えた新しい事業モデルが主流になると見込まれる。そうした中、NTT東西がアクセス網をはじめとするボトルネック設備を保有していることは、公正競争の促進とサービスの一層の多様化・低廉化の実現のみならず、ブロードバンド市場全体の健全な競争を阻害する可能性が高い。実際、通信インフラの中心が銅線から光ファイバに移行するに伴い、NTT東西のドミナンス性が更に高まることも考えられる。
従って、上記の事業規制の在り方の見直しと並行して、NTT東西のボトルネック設備について、会計分離の徹底、接続ルールの遵守強化を図るための体制整備、ボトルネック設備へのアクセスの真の同等性の確保を実現するとともに、IPネットワークによる映像配信サービスについても公正競争を確保するための措置等を一体として速やかに措置し、NTT東西のボトルネック設備の機能分離を徹底すべきである。
大事なことをしっかりうたってあると思うなぁ。
つい先日の日経産業新聞では「竹中懇は尻切れトンボ」といった論調だったが、一体そんな記事を書く人はどこを読んでいるのだろうか。
米国ではブロードバンドの進展を意図的にサボッた旧ベル系地域通信会社が連邦政府を手玉にとってしまい、光ファイバー施設は競合会社に開放しなくてもよくなってしまった。日本は通信政策に関して明確に米国とは違うアプローチをとるぞ、逆に日本のブロードバンド化は施設開放によってもたらされたのだから、この強みをよりいっそう強化して、世界トップのブロードバンド大国になるぞ、というものすごく明快な意思表示がこの報告書にはあるのです。
他にも、冒頭に三つの観点として設定されたうちのトップには
といったことも取り上げられている。
このあたりはさすが生活者視点の松原先生らしい。
価格破壊された光ファイバーを日本中に引けるようになって、インターネットはもちろん、テレビでも電話でもなんでも楽しめるようにするのだー!っていうメッセージを感じます。
総務省がu-Japan構想を本当に実現しようとしているのだなぁ、ニッポンは楽しいブロードバンド大国になりそうだなぁ、と元気付けられる報告書だと思います。
投稿者 yutaka : 01:20 PM | コメント (0) | トラックバック
June 01, 2006
市場調査とイノベーションは両立しない
特に「合議制」でモノゴトを決めて行く日本の会社の場合、「アンケートの結果、何パーセントのユーザーが欲しいと言っている」などの数値化されたデータに頼り切った社内向けの資料を作る必要が往々にあるので、「ターゲット・ユーザーを観察した結果、こんな商品なら喜んでもらえるのとの結論に達した」という資料では説得力に欠け、何の変哲も無い「既存のユーザーの多くが欲しいと主張しているもの」に企画段階で負けてしまうことがしばしばあるのだ。「合議制」ではイノベーションが出来ない根本的な理由はここにある。
新しいモノやサービスを作ろうとしているときによく直面する状況ですよねぇ。
中嶋さんもこの手の歯がゆい経験をされてきたのだなぁ、と共感してしまいました。
自分も今は市場調査担当であるものの、時として市場調査データを忘れようとプロダクトマネジャーやプロジェクトマネジャーにうったえることがあります。自分の存在意義を否定する瞬間ですが、時として正しい行為のはず。
市場調査やログ解析やユーザの声を聞くという行為はバックミラーを見るのと同じことだから、自分たちの進む方向が判っていてそこに何があるのかも予見できる場合に限って有効なはず。持続的イノベーションなら有効な手段かもしれません。
でも、破壊的イノベーションをもたらそうと企んでいるときは、舗装道ではないところへ(別の平面か、別次元かもしれない)行こうともがいているときなのだから、バックミラーの情報にあまり頼ってはいけないと思います。
誰も提供してこなかった価値を提供するというのは、そういうリスクをとるということなのだ、と、中嶋さんのブログを読んで再確認しました。
(今日は自分に言い聞かせるモード)
投稿者 yutaka : 10:53 AM | コメント (0) | トラックバック
March 22, 2006
BellSouth買収から考えた。「国策通信会社の施設を安価に開放」が大事
この合併の意味は、BellSouthと各契約世帯とを結ぶアクセス回線を買い取ることであり、光ファイバー回線を通じて提供できるあらゆるサービスを契約者に売り込むことなのだ。つまり、テレビ放送であり、インターネットであり、同時に映画や音楽の配信である。
短い文章できちんと要点を伝えていて、アメリカの通信事情を大づかみするにはなかなかいい記事ですが、残念なことにCingular Wirelessのことが触れられてませんでした。日経BP側では「クアドルプルプレイ」とメルマガの見出しに出していましたので、携帯電話戦略も入っていることをご存知なのでしょうね。
元記事のForbesの方ではCingular Wirelessの持分に気が回らなかったのかな~。
Cingular Wirelessは60%が旧SBC Communications、40%がBell Southが保有する非上場企業です。2004年秋に旧SBCがBell Southの持分を買い取る交渉をしたものの交渉が成立せず、この分の投資余力が旧AT&Tの買収に向かったのではないか、というのが業界スズメの考察。
1年半を経て、新生AT&T(旧SBC Communicationsが旧AT&Tを買収した)としてもう一度Cingular Wirelessを取りに行って、この際Bell Southごと買収してしまったということも考えられます。
あとは記事のとおりで、これで新生AT&Tは巨大独占を復活できます。
・米国東海岸と北西部以外の全てで地域固定通信をほぼ独占
・No.1長距離固定通信
・No.1移動体通信
移動体通信の貢献利益が大きいはずですよ~。NTTの連結営業利益の2/3はDocomoですもんね。
さて、この記事からその先をいろいろ考えてみました。
手順は別として、米国中西部という経済成長力のあるエリアを持っていた旧SBCが昔のAT&Tを復活させつつあることは間違いないです。
96年通信法改正はしたものの、地域通信会社の運用面での意図的サボタージュを防げなかったために有力DSLサプライヤを育てることができず、ブロードバンド環境整備に追われる連邦政府は(特に今は共和党政権だし)この合併を認めるでしょうから、巨大独占復活になるのはほぼ間違いないと予想します。
大変残念なことにわが国においては、「米国では巨大独占を国策としている」というプロパガンダにこの状況が使われており、旧国策通信会社を中心にこの論陣を張る一派があります。
現在の米国における状況を私なりに整理するとこんな風になります。
(1)96年の通信法改正で新興通信企業参入の制度は作った
(2)しかし地域通信会社の意図的サボタージュで施設開放は進まなかった
(3)これは、「ブロードバンド後進国になろうと知ったこっちゃない。あらゆるオプションを行使して自分たちの設備に新規参入組をつながせない。そのうち時を見て制度を変えたる!。とにかく時間稼ぐ!」という地域通信会社の戦略にあった
(4)案の定米国ではDSLの普及は進まず。(局舎からの距離も長いし)
(5)このすきにCATVがものすごく伸びる。みんなブロードバンドを使いたいからね。(米国ブロードバンドはCATV : DSL : FTTxは6:4:0.5)
(6)連邦政府は旧地域通信会社の手のひらの上状態。FCCの委員長は2代を経てブッシュ化が進行
(7)いよいよ巨大独占復活へ
キモは(2)(3)だと思います。ここが日本と米国が一番異なるところ。NTTがエライのは、施設開放という制度をきちんと日々の運用でも徹底したところだと思います。DSLの回線使用料はすごく安かったし。おかげで日本は世界有数のブロードバンド先進国になりました。
韓国でも日本でも、旧国策通信会社の施設開放をきちんとやり遂げたところは、DSLがちゃんと普及してその後のFTTxも普及が進むのです。日本の通信政策の根本に「国策通信会社の施設を安価に開放」を置いていけば、この先もブロードバンドのメリットを享受できるはずだと思います。
投稿者 yutaka : 06:28 AM | コメント (0) | トラックバック
March 10, 2006
「インフラただ乗り論はおかしい」->その通りだ!
インフラただ乗り論とは,最近になってNTTグループが中心となって訴えはじめた主張のこと。インターネットでビジネス展開する事業者によってインフラのコストが増大しているため,応分のコスト負担をすべきというものだ。特に現在,USENが提供する動画配信サービス「GyaO」のトラフィックがインターネット接続事業者(ISP)のバックボーンのリソースを圧迫していることからこの議論に火が付いた。以下,平宮氏との一問一答。
(中略)
またどうしてもGyaOからのトラフィックが負担なら,その帯域を絞ればいい。そんなことをすると,ユーザーが離れていく可能性もあるだろう。多くのユーザーが離れれば,事業として成り立たなくなるかもしれない。しかしそれが市場経済というものだ。幸いなことに日本にはNTT以外の選択肢がある。
ITproに出ていた記事。
まったくその通りだ。
NTTの主張にはまったく説得力がない。
放送見るなら料金を高くしますってやればいいんですよ。
現在の料金設定が「使い放題・帯域これこれ」ならその枠内でできていることにそれ以上文句を言うのはおかしいですよ。
帯域を絞るというのはインターネットの初期にありましたよね。
当時のKDDが米国->日本トラヒックについて一部のISPのトラヒックを特定のルーティングで帯域がそれほど大きくないルートに乗せたので、そのISPユーザは米国サーバを見にくくなった時期があったはずです。
98年から99年頃にテレホタイムに入ると一部のISPは米国サーバが見えづらくなったはずですが......
KDDかIIJに対価を払っているISPは豊富な帯域が使えてちゃんと見えたのよね。自分が当時いた会社は立ち上げ当時米国サーバで運用していたので、この影響を受けてしまい、「広告が出ない」「ページが見えない」とクレームを受けた覚えがあります。
ホスティング料や接続料、運営費用が高くなることを許容して、国内運用に切り替えて対応したことを思い出しました。
コンテンツ事業者は自分が発信する量にあわせて接続帯域を買って、ちゃんと接続料を払っているのですから、それ以上にコスト負担を求めるのはやっぱり変な話ですよね。
投稿者 yutaka : 05:20 PM | コメント (0) | トラックバック
February 27, 2006
通放あり方懇その2
当然のことながら国有放送であるNHK、特殊会社であるNTTに関する議論自体のあり方を頭ひとつ高いところから規定する必要があろう。すなわち、国有放送の新しい定義やその費用の確保の仕方、放送・通信のユニバーサルサービスの範囲やその適用先の見直しなどだろう。その点において、竹中懇は着実に議論を進めている。
加えて、僕が望むべきものとしては、制度のあり方自体を規定する政府の仕組み自体の議論だ。すなわち、メディア、コンテンツ、放送、情報通信といった領域の監督省庁のあり方なのだ。
CNetでいつも注目している森祐治さんのコラムより。
ぶっちゃけ、最近のこの辺の議論が通信所管と放送所管とハードウエア所管とコンテンツ所管を一緒にしようという、「情報通信省構想」(参考URL : http://it.nikkei.co.jp/business/special/e-gov.aspx?i=2006011009831tf )の前哨戦になりつつあるので、森さんの視点からの議論リードを目的にしていると見ました。
権限の過度な集中を懸念していらっしゃるのかな。
具体的提案としてこんなことを言われている。
情報通信省が実現すれば、確かに権限が集中しすぎるし、振興と規制という、場合によっては二律背反する目的を一つの組織で成し遂げるのは難しいかもしれません。この組織のリーダーに情報通信から見たニッポンの新しい姿を描く力がなければ、単なる利権漁り組織に堕す危険性があります。
といって、振興と規制を二分するだけで利権漁り体質を是正できるものだろうか。双方の組織を構成するスタッフが、これまでの官僚キャリアパスに乗っている限り、行政組織内での牽制には限界があるのではないだろうか。規制側が振興省庁の外局扱いされたり、天下り先として活用されたりという新たな懸念が生じるのですよ。
と、疑問を抱きつつ、今度は好意的に考え直してみます。
規制官庁の独立性を確保することさえできれば何とかなるかもしれません。公正取引委員会とか、証券取引等監視委員会とか、一応それらしい独立規制官庁はありますので。(規制力がどれほどのものかというとまだ足りない気がしますが。)
産業再生委員会というなかなか成功しているところもありますね。
別の選択肢として、三権分立の原則を適用して司法セクターに規制力を持たせるアプローチもあるのかもしれません。でもこのアイデアも、司法界の既得権益や価値観を変えるほうが難しそうです。
行政側のガバナンスか、三権分立原則かという選択をしなくてはならないとすれば、規制官庁の強い独立性を確保した上で森さん案に一票、ということでしょうか。
投稿者 yutaka : 10:43 AM | コメント (0) | トラックバック
January 14, 2006
通信・放送融合の懇談会に期待
ちょっと前のニュースですが
竹中平蔵総務大臣は12月27日,大臣直轄の私的な懇談会「通信と放送の在り方に関する懇談会」の概要と参加メンバーを明らかにした。座長に松原聡・東洋大学教授を据えて,2006年1月から議論を開始する。
かなり興味がある内容でした。ブロードバンドでも、モバイルでも、色々な端末からテレビやVoDが楽しめたら快適ですもんね。上記の記事でも、規制撤廃・緩和を予見する書き方。楽しみな時代になるかもしれませんね~。
この手の懇談会はメンバーの構成が大事。記事に出てきたメンバーを見ても、通信と放送の融合に積極的な方が多いようにお見受けしました。
とりわけ座長の存在が大きいと予想し、松原先生のWebを除いてみると.....
下車後、タクシー近代化センターに連絡
松原「八重洲トンネル渋滞といって、遠回りしていたけど、渋滞していなかったはず。そちらで調べてほしい」
二日後、センターから
センター「渋滞は、ご指摘のようにありませんでした。運転手も反省しています。ただ、カーナビでは渋滞と出ていた。カーナビの故障かも」
(ここで、松原が切れる(笑)。素直に謝ればいいのに・・・)
松原「タクシーの利用者は、携帯などで渋滞情報を見ないから、運転手に「渋滞」といわれたら、信じるしかない。カーナビのせいにされたら、松原は納得できない。どこのカーナビなのか、誤った渋滞情報はどういう状況ででるのか、きちんと調べて報告してほしい。」
これはすごい。純粋な生活者感覚を保った方とお見受けしました。固定観念では、お役所の懇談会の座長になる方というのは、業界トップ企業の代弁者か、政治的野心アリアリで政治家さんとの密接さを感じるものですが、松原先生はクレーマーの域に迫るほどの生活者視点で日々活動されているようなのです。(上記以外のエピソードもおもしろい)
これはなかなか楽しみな方が"通放在り方懇"の座長になられたものです。
きっとわくわくするネットライフを楽しみにしている生活者を代弁してくれるのではないでしょうか。
すごい期待が高まってきました。
がんばれー! "松原通放在り方懇"!